7月の台所は、少し動くだけで汗が噴き出すけれど、どこか優しくありたい場所。
暑さで火を使うのが億劫になる時期だからこそ、「無理せず、でも丁寧に」つくるごはんが小さな楽しみになります。
夏野菜は、そのままでも、少し手を加えてもおいしい恵み。
なす、トマト、きゅうり、オクラ、とうもろこしなど、彩り豊かな野菜たちが食卓を明るくしてくれます。
たとえば、冷たいそうめんは夏の定番。

刻んだみょうが、しそ、ごまなどを添えるだけで、味も香りもぐっと豊かになります。
なすの煮びたしは、冷やしてもおいしい作り置きおかずの代表格です。

だしのやさしい香りと、トロリとした食感に、暑さで落ちた食欲も和らぎます。
(余談ですが、なす大好きな私が数年前に急になすアレルギーを発症し、以来指をくわえて見るだけになってしまいました。トロリとした食感…と書いただけでも垂涎ものです。)
とうもろこしも、茹でるだけで甘く香ばしく、粒を外してごはんに混ぜたり、バター醤油でさっと炒めるだけで、夏らしい一皿になります。

この時期は、台所に立つ時間を短くしつつ、でも丁寧に。
火を使うのは必要最小限にしながら、季節の味を楽しむ…それが、7月の小さなごちそうの秘訣です。
「暑いから食欲がないな…」と思っていても、彩りや香りに心が弾むと、自然と箸が進むもの。
食卓で感じる季節の移ろいは、体だけでなく、心もじんわり満たしてくれるのです。
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