第四回目 栄螺と割蓋、夏の気配
6月最後のお稽古は、夏の気配をたっぷり感じさせる内容でした。
お稽古場に置かれた桑小卓を見ると、「ああ、夏が来たな」としみじみ感じます。

この時期ならではの涼しげな設えに、心も和みました。
夏到来、ひっくり返しの儀
桑小卓に合わせて登場したのは、栄螺(さざえ)の蓋置です。
七種蓋置の一つで、使う際にひっくり返すのが特徴的。
ひっくり返す前はこの状態です。

この時に使った建水も、桑小卓や栄螺蓋置によく合う平建水でした。
柄杓や釜の蓋を置く際には、蓋置をひっくり返して使います。

この「ひっくり返すタイミング」は、お稽古の流れによって変わるため、柄杓を使う場面かどうかなど、全体の所作をイメージしながら組み立てるのが重要です。
七種蓋置には、今回の「栄螺」の他に、「火舎(ほや)」、「五徳」、「三葉」、「一閑人(いっかじん)」、「三人形」、「蟹」があります。
「火舎」と「栄螺」は毎年登場しますが、他はなかなかお目にかかる機会が少ないのが現状です。
先生との会話の中で、「時には他の蓋置も使って勉強してみましょう」というお話になり、近い将来、このブログでもご紹介できるかもしれません。
今回登場したお道具

今回、新たにブログでご紹介するお道具が老松割蓋という茶入です。
お仕服に入れればお濃茶器として、今回のようにそのまま用いればお薄器としても使える優れものです。
割蓋は、蓋をすべて取り去るのではなく、左右に分かれた蓋の右側だけを開けて使うものです。
拝見の際には、両方の蓋を開ける所作となります。
五感で感じる日本の夏
日常生活の中でも季節の移ろいを感じる瞬間はありますが、お稽古場でのそれは格別です。
お道具、お菓子、お花、その一つひとつに「ああ、夏だな」としみじみ感じることがあります。
たとえば、先日のお稽古でいただいたお菓子。

見るだけで涼やかな気配が立ち上るようでした。
外に出れば、うだるような暑さ。
けれどお稽古場では、なぜか空気が軽やかで、湿度を感じさせない穏やかな暑さに包まれるような気がするのです。
不思議ですね。
それでは、また次回。
※この記事は、私がお稽古(表千家)で日々感じている茶道の魅力を、私の言葉で綴ったものです。
茶道の世界は奥深く、流派や先生によって様々なアプローチがあります。
ここに書かれていることが、すべての方に当てはまるわけではないかもしれませんが、茶道への興味のきっかけになれば幸いです。
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