有限会社 横溝工務店

「一服のひととき」— Web担当の茶道日誌

一服のひととき

 

第二回目、無事にアップできました。
いざ書こうと思うと、何をどう書いていいのか悩むものですね。

映画にもなった『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(著者:森下典子さん)をずいぶん前に拝読させていただきましたが、参考にならないかとまた本棚から出してきました。
無駄なあがきでした。
やっぱり自分の言葉で思うように書くことが、続けるには一番良さそうです。
なんて前置きが長くなりましたが、第二回目は先月のお稽古のお話を。

前回、5月からは風炉になり、初めは「運び」のお点前からというお話をしましたが、その後は棚を用いたお稽古もありました。

この棚は「丸卓」と書いて「まるじょく」と読むもので、写真の丸卓は「木地」になります。

先代の先生がよくこの棚を使われていた記憶がありますが、今の先生曰く、体力の落ちてきた中での稽古の準備では、大きな棚は大変だったのかもね…というお話でした。
理由はどうあれ、よく使っていたという記憶から、何となく慣れ親しんで好きな棚となりました。

この木地の丸卓では、棚の上に柄杓と蓋置を飾る際に、他にはないパターンが発生します。
それが「柄杓の合(ごう)を伏せる」ということです。(※写真は総飾りとなっております)

合とは水やお湯の入る部分ですが、それを写真のように伏せて飾ります。
この理由を先代の先生から詳しく聞くことができなかったのですが、便利な世の中で、今ではちょっとネットで調べるとあっという間に答え(たまに嘘もありますが)が。
その結果、「陰陽和合の決まり」というお話に出会いました。

棚が漆で塗られていない木地で作られていて、棚の天板の形が丸である丸卓は「陽」です。
そのため、その上に飾る柄杓は、合を伏せて「陰」に飾るのです。
(参照:https://chanoyujiten.jp/hisyakuwonazefuserunoka-maruzyoku/

というわけなのです。
だから先生も「木地の丸卓の場合は」と言っていたのです。
塗りの丸卓の場合は、他の棚と同じように合は上を向けた状態なのです。

お稽古は季節によって使うお道具が変わりますが、その時期に合わせたお道具をいつも先生に用意してもらっています。
出来上がった舞台にいそいそと上がっている私は、余裕がある時に復習はするものの、「何となく今月はこの棚を使うのか」「このお茶碗が登場するのか」という程度です。

長く習っていても、知らないことだらけ。
特に最初の頃は、「まず形から」と一生懸命に流れを覚えていました。
それが何となく体に染みついてきてからが本番なのでしょうね。
それぞれの動きの意味合いを考えていくことの楽しさを今は楽しんでいます。

毎年同じようなお点前をしている中で、必ずその時々に新しい疑問が浮かんできます。
それを今の先生に教えてもらうこともあれば、一緒に謎を解明していくこともあります。
その行動自体が楽しいというわけです。

今の先生も先代の先生から「知らないことを知る喜びがお茶の世界にはある」とよく言われていたそうです。
まさに今、その言葉を実感しているのでした。

それでは、また次回。

 

※この記事は、私がお稽古(表千家)で日々感じている茶道の魅力を、私の言葉で綴ったものです。
茶道の世界は奥深く、流派や先生によって様々なアプローチがあります。
ここに書かれていることが、すべての方に当てはまるわけではないかもしれませんが、茶道への興味のきっかけになれば幸いです。